今あらためて昭和アニメを見返してみると、「え、これって実在の車だったの?」と驚かされるシーンが実はけっこう多いんです。
当時は、今のように架空の未来カーやデフォルメされた乗り物よりも、「実際にある車=カッコいい」という価値観が強かった時代。
しかも、そのチョイスがまた渋い。ド定番のスポーツカーだけじゃなく、小型車・ラリーカー・大衆車まで、作品ごとにキャラクターの個性やシーンに合わせた名車たちがしっかり登場していました。
そして昭和アニメならではの魅力がもうひとつ。
それは「リアルな実車×ありえないアクション」の掛け算。
ルパンのフィアット500が崖を登ったり、シティーハンターのミニクーパーが派手にカーチェイスしたり…
実在の車だからこそ、「この車でそんな動きする!?」とワクワクさせられるんですよね。
今回はそんな、昭和アニメに登場した名車たちを作品ごとにじっくり紹介していきます。
大人になった今だからこそわかる“車の面白さ”にも注目しながら、昭和アニメの世界へ出発です。
ルパン三世:名車×アクションの代名詞
昭和アニメに登場する名車といえば、真っ先に思い浮かぶのが『ルパン三世』。
アクションとカーチェイスが代名詞のこの作品は、実在する名車が惜しみなく登場することで知られています。
特にルパンの愛車として有名な「フィアット500」は、今やルパン三世のシンボル的存在。
さらに劇場版『カリオストロの城』では「シトロエン2CV」、初期シリーズでは「メルセデス・ベンツSSK」など、クルマ好きの心をくすぐるモデルが次々と登場します。
それでは、ルパン三世に登場する実在の名車たちを見ていきましょう!
ルパンの愛車 フィアット500
ルパンといえばこの車!
劇場版『カリオストロの城』での超人的なカーチェイスシーンは、今でも語り草です。
実際にルパンが乗っているのは、1957年から製造された「NUOVA 500(チンクェチェント)」と呼ばれるモデル。
小さな車体に、驚くようなアクションをさせることで、その存在感は伝説級になりました。
劇中のルパンカーは「500F」あたりとされています。リアエンジンの軽快さと、小回り性能を活かした動きは、まさにアニメだからこその演出でした。
引用元:FIAT × LUPIN THE THIRD キャンペーン
ちなみにこのルパン×フィアットのつながりは、今でもしっかり続いています。
昭和アニメの名車が、こうして令和の今でも形を変えて走り続けている──なんだか胸が熱くなりますね。
カリオストロの城とシトロエン2CV
劇場版『カリオストロの城』の冒頭で登場するもう1台の名車が「シトロエン2CV」。
クラリスが乗っていたこの車も、実在する大衆車です。
© Stellantis / Citroën|画像引用元:Citroën公式プレスリリース
1948年に登場し、1990年まで生産された超ロングセラーモデル。
「農道を走っても生卵が割れない」という逸話があるほど、実用性と頑丈さを兼ね備えた車でした。
原作・TVシリーズでのルパンの他の車(ベンツSSKなど)
ルパンはシリーズによって様々な車に乗っていますが、特に有名なのが「メルセデス・ベンツSSK」。
© Mercedes-Benz Group AG|画像引用元:メルセデス・ベンツ公式プレスリリース
1920年代に作られたスーパーカーで、実物はとんでもないプレミア価格。
そんな超レア車をルパンが豪快に乗り回すのが、また粋なんですよね。
他にも、トライアンフTR4、不二子のミニクーパー、銭形警部のブルーバード(通称“銭ブル”)など、ルパン三世の世界は実在する車で溢れています。
シティーハンター:獠のミニと海坊主のランクル
ハードボイルドとギャグが絶妙に混ざり合った1980年代の名作『シティーハンター』。
この作品でも、実在する名車がしっかり登場しているのをご存知でしょうか。
新宿の伝言板に「XYZ」と書かれた瞬間、裏の世界ナンバー1スイーパー・冴羽獠(さえば りょう)が動き出す。
そんなリョウの愛車は、ちょっと意外にも英国生まれの小さな名車「クラシックMini」。
そしてもう1人、ファンにはおなじみのキャラクター・海坊主(伊集院隼人)が乗るのは、日本が誇る本格クロカン「ランドクルーザー」。
まさに2人のキャラクター性をそのまま表現したような車選びが最高なんです。
冴羽獠の愛車:クラシックMini(ミニクーパー)
シティーハンターの冴羽獠といえば、この赤いクラシックMini。
小柄な車体で新宿の路地裏をすり抜けたり、敵から逃げたりと大活躍します。
© BMW Group|画像引用元:BMW Group公式プレス記事
作中で描かれているのは、おそらくオリジナルの「モーリス・ミニ」または「オースチン・ミニ」。
英国車らしいクラシカルなスタイルと小回り性能の高さが魅力です。
シティーハンターの放映当時、新宿で「ミニクーパーに乗る」という取材がありました。もちろん嬉しかったです。憧れの車でしたから・・・。#シティーハンター pic.twitter.com/OWYUgNADwA
— 神谷明 (@kamiyaakira29) December 4, 2018
ミニクーパーは1959年に登場し、2000年まで約40年にわたって生産された超ロングセラー車。
実際にこのアニメを見て「ミニに憧れた」というファンも多い名車中の名車です。
海坊主の愛車:ランドクルーザー(トヨタ)
獠の相棒(?)であり、喫茶キャッツアイのマスターでもある伊集院隼人(通称・海坊主)。
彼が乗っているのはトヨタのランドクルーザー。
作中では60系モデルが登場しており、無骨で頼もしいフォルムは、まさに海坊主のキャラにピッタリ。
戦場帰りの元傭兵が乗る車として、これ以上ない説得力があります。
引用元:トヨタ自動車WEBサイト
ちなみにランドクルーザーは現在も進化し続けている人気SUV。
今でも60系は根強い人気があり、中古市場では高値がついていることも。
ちなみに…槇村兄の愛車は初代マツダ・キャロル
実はもう一人、シティーハンターの物語に欠かせない人物──香の兄・槇村秀幸も、しっかりと“実車”に乗っていました。
その愛車が、なんと1962年に登場した初代マツダ・キャロル。
© Mazda Motor Corporation|画像引用元:マツダ公式ニュースルーム
360ccという小さなエンジンを積んだこの軽自動車は、当時の日本の大衆車として多くの人に親しまれた名車です。
作品中ではほんの一瞬だけ映るシーンですが、こうした小さな描写にも「昭和のリアル」が息づいているのがシティーハンターの魅力。
キャッツアイ:都会派三姉妹とポルシェ928
オシャレでスタイリッシュな昭和アニメといえば『キャッツアイ』。
美人三姉妹が夜な夜な怪盗として暗躍するこの作品でも、実在の名車がしっかり登場しています。
その代表格が、三姉妹の中でも運転シーンが多い次女・来生瞳(きすぎ ひとみ)が乗っていたポルシェ928。
都会の夜景と高級スポーツカー、この組み合わせはまさに“昭和バブルの象徴”といっても過言ではありません。
瞳のポルシェ:928はどんな車?
ポルシェ928は1977年に登場した高級スポーツカー。
それまでポルシェといえば911が定番でしたが、928はあえてフロントエンジン・後輪駆動という新しいレイアウトを採用して話題になりました。
流線型のボディに特徴的なリトラクタブルヘッドライト、そしてドイツ車らしい重厚感。
まさに“大人のためのスポーツカー”というイメージがピッタリの1台です。
© Porsche AG / 画像引用元:Porsche Newsroom
なぜポルシェだったのか?裏話と考察
なぜ来生瞳の愛車がポルシェ928だったのか?
それは、キャッツアイの世界観そのものが「都会的で洗練されたカッコよさ」を追求していたからかもしれません。
三姉妹は普段はカフェ「キャッツアイ」の店員。でも夜は一流の怪盗。
そのギャップを際立たせるアイテムとして、当時の最新&高級スポーツカーであるポルシェ928はベストな選択だったと言えそうです。
ちなみに現在でも、ポルシェ928はコアな人気を誇るクラシックカー。
中古市場では状態の良い車両はかなりの高値で取引されています。
鳥山明作品の“愛車たち”にも注目!
『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』といった国民的作品を生み出した漫画家・鳥山明さん。
実は、彼の作品には“実在の名車”がたくさん登場していることをご存知でしょうか?
しかもただの車好きではなく、本人が実際に所有していた車をモデルにした描写も多く、まさに「描かずにはいられない」レベルのこだわりっぷり。
今回はそんな鳥山作品に登場する名車たちを、アラレちゃんとドラゴンボールを中心にご紹介します!
ドラゴンボールのフィアット・アバルト595
ドラゴンボール第2巻で、悟空がかめはめ波を初めて放ったシーンで吹き飛ばされる車。
それがなんと、実在のホットハッチ「フィアット・アバルト595」なんです。
元々はかわいい大衆車・フィアット500をベースに、チューンナップブランド・アバルトが高性能化したモデル。
小さなボディにキビキビ走るその姿は、まさに“小さな暴れん坊”。
実は今でも現役モデルが存在していて、60周年を迎えるほどの名車に。
公式では初代と現行モデルが並んだ写真も公開されています。
© Stellantis / 画像引用元:Abarth公式プレスリリース
アニメの中では小道具のような扱いですが、実車は今でもファンの多いクラシックカーです。
Dr.スランプ アラレちゃんとアウトビアンキA112アバルト
アラレちゃんといえば、ペンギン村警察のパトカーが「アウトビアンキA112アバルト」。
これまた実在するイタリアのホットハッチです。
© Stellantis / Abarth|画像引用元:Autobianchi A112 Abarth(公式プレス画像)
アニメではアラレちゃんにぶっ飛ばされたり、ガッちゃんにかじられたりと災難続きですが、現実ではチューニングモデルとして高評価な車種。
実は鳥山明さんご本人もこのA112アバルトを愛車として所有していたことがあるんです。
鳥山明先生が“描いた車”と“実際の愛車”
鳥山明作品には、リアルに存在する名車がたびたび登場します。
特に表紙イラストでは、本人の趣味が炸裂していることも多く、クルマ好きにはたまらない演出になっています。
その中には「実際に鳥山先生が所有していた車」もあれば、「先生が好きで描いた車」も混ざっています。
登場車種はこんな感じ。
イラストや表紙に描かれた名車たち
- ホンダ・ライフステップバン(第12巻表紙)
- スズキ・ジムニー(第13巻表紙)
- ACシェルビー・コブラ(第8巻表紙)
- フォルクスワーゲン・ビートル、スーパーセブン、ポルシェ911、トヨタMR2など
実際に鳥山先生が乗っていた愛車(一部)
- アウトビアンキA112アバルト(Dr.スランプに登場)
- ホンダ・シティターボII(当時のインタビューより)
こうして見ると、コンパクト&個性的な車が多いのが特徴的。
「車は小さいほどイイ」という鳥山先生のポリシーが感じられますね。
アニメに登場した実車モデルの魅力とは
アニメに実在の車が登場すると、なぜこんなにも心をくすぐられるのでしょうか。
それは、「現実にあるもの」が「非現実の世界」と交わることで、作品にリアリティと夢の両方を与えてくれるからかもしれません。
例えばルパン三世のフィアット500が崖を駆け上がったり、獠のミニクーパーが新宿を駆け抜けたり…。
アニメというフィクションの中に、見慣れた“本物の車”が登場することで、「これ、もし自分が乗ったら?」という妄想がふくらむんですよね。
しかもそれらの車は、当時の空気感をまとった名車ばかり。
ドアの形やエンジン音、フォルムの美しさまで含めて、アニメの世界にしっくりと馴染んでいるのも魅力の一つです。
あの名車たち、今なら手元に置けるかも?
当時、テレビの前で憧れたあの車たち。
実は今も、ミニカーやプラモデルとして手に入るものもあるんです。
デスクに飾ったり、棚に並べたり…眺めているだけで、あの頃のワクワクした気持ちがちょっと蘇るかもしれませんね。
画像引用:Amazon 商品ページ(販売元リンク)
もしお気に入りの1台が見つかったら、手元に置いてみるのも悪くないかもしれませんよ。
まとめ:昭和アニメ×名車、今こそ見返したい!
子どもの頃、テレビの前で目を輝かせて見ていたあのアニメたち。
そこに登場していた車が、実は実在する名車だったと知ると…
なんだかちょっと得したような、うれしい気持ちになりますよね。
ルパンのフィアット、獠のミニ、瞳のポルシェ…
どれもただの“背景の車”ではなく、キャラクターたちの魅力を引き立てる“相棒”のような存在でした。
あの頃憧れた車たちを、今またアニメと一緒に振り返るのも悪くありません。
Blu-rayを見返したり、ミニカーを眺めたり…そんな時間こそが、ちょっと贅沢な“おとなの趣味”なのかもしれませんね。
FeelStyleでは、そんな昭和の“ちょっといい思い出”をこれからもお届けしていきます。
最後まで読んでくださったあなたへ──今夜、あの頃のヒーローたちと名車の物語を、もう一度。
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