「昭和60年代のファッションって、どんな時代だったの?」
ボディコン、肩パッド、DCブランド──名前は知っていても、きちんと説明できる人は意外と少ないかもしれません。
昭和60年代(1985〜1989年)は、日本がバブル経済へと突き進んでいった時代。
ファッションのキーワードは、「派手・高級・自己主張」でした。
服は「着るもの」から「自分を語るもの」へ。
街には「いまがいちばんイケている」と本気で信じられた空気が漂っていました。
この記事では、そんな昭和60年代ファッションを、女性・男性それぞれの代表スタイルやブランドとともに、今あらためて整理していきます。
昭和60年代を代表する女性ファッション
昭和60年代の女性ファッションを語るうえで外せないのが、「ボディラインの強調」と「夜の華やかさ」。
それまでの清楚・可憐といったイメージから一転し、大人の女性らしさやセクシーさを前面に出したスタイルが一気に広がりました。
街も、ディスコも、テレビの中も。
この時代の女性ファッションは、とにかく主役感がありました。
ボディコンファッションの全盛期
昭和60年代ファッションの象徴といえば、やはりボディコン(ボディコンシャス)。
身体のラインを大胆に強調したタイトなワンピースやスカートは、当時の女性たちの憧れであり、ステータスでもありました。
素材はストレッチの効いたものが多く、色は黒・赤・白といったはっきりした配色。
ミニ丈にハイヒールを合わせるスタイルは、「大人の女性」の代名詞として定着していきます。
今見ると少し派手に感じるかもしれませんが、当時はそれが「時代の最先端」。
バブル期ならではの勢いと自信が、そのまま服に表れていました。
ディスコ・ジュリアナ文化と夜の装い
昭和60年代後半になると、ディスコ文化が一気に加速。
その象徴ともいえるのが、後に語り継がれるジュリアナ東京です。
夜の街では、ボディコンに加えて、ボディスーツ、ミニスカート、派手なアクセサリーなど、非日常を楽しむためのファッションが求められました。
昼と夜で服を着替えるのが当たり前。
「仕事終わりにそのまま遊びに行く」ことを前提とした装いも、この時代ならではの特徴です。
ブランド志向とハイヒール文化
昭和60年代は、ブランド志向が一気に高まった時代でもあります。
国内外の高級ブランドを身につけることが、自分をどう見せるかの重要な要素になっていました。
足元は、迷わずハイヒール。
ピンヒールやエナメル素材のパンプスは、ボディコンスタイルとセットで語られる存在です。
歩きにくさよりも、見た目の美しさを優先する。
そんな価値観が当たり前だったのも、日本がもっとも勢いのあった時代ならではかもしれません。
昭和60年代を代表する男性ファッション

引用元:山田耕史のファッションブログ
昭和60年代の男性ファッションは、一言でいえば「選択肢が一気に広がった時代」。
それまでの量産型・没個性から抜け出し、「何を着るか=どう生きるか」を意識する男性が増えていきました。
モード、カジュアル、アメカジ、きれいめ──
今では当たり前のジャンル分けも、この昭和60年代に一気に定着していきます。
DCブランドブームとモード系男子
昭和60年代男性ファッションを語るうえで欠かせないのが、DCブランド(デザイナーズ&キャラクターズ)ブーム。
コムデギャルソン、ヨウジヤマモト、イッセイミヤケなど、国内デザイナーズブランドが一躍脚光を浴び、「服はアートである」という価値観が広がりました。
黒を基調としたシルエット重視の服装、肩を強調したジャケットやロングコートなど、分かる人には分かるモードスタイルが若者の憧れになります。
当時は「DCブランドを着ている=都会的で大人」というイメージも強く、ファッションがそのままステータスとして機能していました。
渋カジ(渋谷カジュアル)の誕生
一方で、モード一辺倒ではなく、もっとラフで自然体なスタイルも生まれていきます。
それが、後に「渋カジ」と呼ばれる渋谷発のカジュアルスタイル。
チノパン、デニム、ニット、ローファー。
アイビーやアメカジをベースにしながらも、都会的に洗練された着こなしが特徴でした。
DCブランドの「攻め」に対して、渋カジは「抜け感」。
昭和60年代は、こうした対照的なスタイルが同時に存在していたのも面白いところです。
プレッピーとアメカジの融合
昭和60年代後半になると、アメリカ文化の影響もさらに強まり、プレッピースタイルやアメカジが日本独自に進化していきます。
ブレザーにボタンダウンシャツ、ローファー。
あるいは、デニムにスウェット、スニーカー。
どちらも「きちんと感」と「ラフさ」をうまく混ぜたスタイルでした。
この頃に生まれた着こなしの多くは、形を変えながらも、今のメンズファッションにしっかり受け継がれています。
昭和60年代に流行したブランド・アイテム
昭和60年代ファッションをより具体的に理解するには、当時どんなブランドやアイテムが支持されていたのかを見るのが一番です。
この時代は「流行っていた」というより、みんなが同じ方向を向いていたと言ったほうが近いかもしれません。
街を歩けば、似たシルエット、似たアイテムが自然と目に入る。
それが昭和60年代の空気感でした。
DCブランド(コムデギャルソン・ヨウジヤマモト ほか)
昭和60年代を象徴するキーワードのひとつが、DCブランド。
「デザイナーズ&キャラクターズ」の略で、日本のファッションシーンを一気に引き上げた存在です。
代表的なブランドには、コムデギャルソン、ヨウジヤマモト、イッセイミヤケなどがあり、それまでの量産的な服とは一線を画すデザインが注目されました。
特に男性ファッションでは、黒を基調としたモードなスタイルが流行。
女性ファッションでも、シルエットや素材にこだわった服が大人っぽさの象徴として受け入れられていきます。
DCブランドは高価でしたが、「高いからこそ価値がある」という感覚が、この時代にはごく自然に存在していました。
当時の定番アイテム(肩パッド・タイトスカート・ローファー)
昭和60年代ファッションを形づくったのは、ブランドだけではなく、強烈に印象に残る定番アイテムたちです。
女性ファッションで欠かせないのが肩パッド。
ジャケットやワンピースに入れられた肩パッドは、体を大きく、強く見せるための重要な要素でした。
ボディコンと並んで流行したタイトスカートも、昭和60年代を象徴するアイテム。
動きやすさよりも、シルエットの美しさが優先されていました。
一方、男女問わず支持されたのがローファー。
きちんと感とカジュアルさを両立できる靴として、通勤から街歩きまで幅広く使われていました。
こうしたアイテムを見ていくと、昭和60年代ファッションがいかに「見せ方」を重視していた時代だったのかがよく分かります。
昭和60年代ファッションが現代に与えた影響
一見すると「派手でやりすぎ」に見える昭和60年代ファッション。
ですが、実はこの時代の流行は、形を変えながら今のファッションにも確実につながっています。
当時は最先端だったスタイルが、今では「レトロ」「ヴィンテージ」「80sテイスト」として再評価されているのです。
レトロブームと80sリバイバル
近年のファッションシーンでは、80年代を意識したリバイバルブームが何度も起きています。
肩を強調したジャケット、ハイウエストのボトムス、タイトなシルエットやモノトーン中心の配色など、よく見ると昭和60年代の要素が随所に取り入れられています。
当時は「流行だから着ていた」スタイルが、今では「デザインとしておしゃれ」として受け入れられている。
時代が一周したからこそ、あらためて評価されている部分も多いのです。
現代ファッションとの共通点
昭和60年代ファッションと現代ファッションの共通点は、「自分をどう見せたいかを意識していること」。
SNS時代の今も、服は自己表現の手段。
昭和60年代もまた、ブランドやスタイルを通じて「自分はこういう人間だ」と語る時代でした。
違うのは、情報量とスピードだけ。
ファッションを通して自分を主張するという本質は、今も昔も変わっていないのかもしれません。
まとめ|昭和60年代ファッションは「日本が最も派手だった時代」
昭和60年代(1985〜1989年)は、日本のファッションが最も大胆で、最もエネルギーに満ちていた時代でした。
ボディコンにDCブランド、渋カジにプレッピー。
どれも単なる流行ではなく、その時代を生きた人たちの価値観や自信を映し出すスタイルだったと言えるでしょう。
今あらためて振り返ると、少しやりすぎで、でもどこか憧れもある。
それが昭和60年代ファッションの魅力です。
派手で、自由で、勢いがあったあの頃。
昭和60年代ファッションは、間違いなく「日本がいちばん派手だった時代」の象徴でした。


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