昭和といえば、「熱血」「根性」「青春」といったキーワードが思い浮かびますが、その一方で家族や友達と一緒に声を出して笑った“ギャグ&コメディアニメ”の存在も忘れてはなりません。
理不尽だけどクセになる展開、ナンセンスで自由な世界観、そして今なお語り継がれるギャグの数々──。 今回はそんな昭和アニメの中でも、今見ても笑える傑作ギャグ・コメディ作品を厳選して10本ご紹介します。
1. 天才バカボン(1971年〜)
- 放送期間:1971年〜(第1作)※複数シリーズあり
- 原作:赤塚不二夫
- 制作:東京ムービー、新作はぴえろ ほか
- 主な声優:バカボンパパ(雨森雅司 → 富田耕生 ほか)
● 作品の特徴
「これでいいのだ!」という名言でおなじみ、昭和ギャグアニメの金字塔。 赤塚不二夫の代表作でもある『天才バカボン』は、バカボン一家のナンセンスな日常を描いたコメディアニメで、理屈を超えた“笑い”と“混沌”の美学が特徴。
バカボンパパの突飛な言動と、現実離れしたシュールな展開がクセになり、「一度見ると忘れられない世界観」として語り継がれています。
● ここが面白い!
- 主人公よりも“バカボンのパパ”が主役級の存在感。
- 「これでいいのだ!」の一言に、現代社会の悩みすら吹き飛ばす哲学が詰まっている。
- お巡りさん、レレレのおじさん、本官さんなど個性豊かな脇役も人気。
● ちょこっと豆知識
実はバカボンパパの年齢、公式設定では41歳!意外とリアルで親しみが湧く?
2. おそ松くん(1966年〜/1988年〜)
引用元:バンダイチャンネル
- 放送期間:1966年〜(第1作)/1988年〜(第2作)
- 原作:赤塚不二夫
- 制作:スタジオ・ゼロ/ぴえろ ほか
- 主な声優:おそ松(井上瑤)、イヤミ(肝付兼太)、チビ太(田中真弓)ほか
● 作品の特徴
昭和ギャグアニメといえば忘れてはならない『おそ松くん』。
6つ子の騒がしい日常というより、イヤミやチビ太など“脇役が主人公化”したギャグの宝庫です。
特にイヤミの「シェー!」ポーズは、昭和を象徴するギャグムーブとして社会現象にまでなりました。
1988年版では作画も現代風にリニューアルされ、新たな世代にも笑いを届けました。
● ここが面白い!
- 6つ子の個性がほとんど同じというぶっ飛び設定(今で言うメタギャグ)
- 脇役のクセが強すぎて主役を食う勢い(イヤミ・チビ太は特に人気)
- ギャグもシュールでテンポが良く、今見ても笑える不思議な魅力
● ちょこっと豆知識
「シェー!」ポーズは当時、プロ野球選手や政治家も真似したほど大流行!
東京タワーやスフィンクスと一緒に「シェー!」する観光客もいたとか…!
3. ド根性ガエル(1972年〜)
- 放送期間:1972年〜1974年(第1作)/1981年〜(第2作)
- 原作:吉沢やすみ
- 制作:東京ムービー
- 主な声優:ひろし(野沢雅子)、ピョン吉(千々松幸子)
● 作品の特徴
中学生のひろしが、シャツに張り付いた“喋るカエル”ピョン吉とともに送る、ドタバタ日常コメディ。 カエルを転んでシャツに押しつぶしてしまい、そのまま「生きたシャツ」となったという突飛な設定は、昭和ギャグアニメ史に残る発明です。
ピョン吉のツッコミと関西弁風のしゃべりがクセになり、子どもから大人まで大人気でした。
● ここが面白い!
- シャツの中で生活しながらひろしを叱咤するピョン吉の存在が絶妙!
- 学校・恋・ケンカといった中学生の日常にギャグを絡めたテンポ感。
- ど根性、友情、笑い、涙…すべてが詰まった人情喜劇。
● ちょこっと豆知識
実写ドラマ版が2015年に松山ケンイチ主演で放送!ピョン吉の声は満島ひかりが担当し、当時話題になりました。
4. ハクション大魔王(1969年〜)
- 放送期間:1969年〜1970年(第1作)/2000年・2020年にリメイク版あり
- 原作・制作:タツノコプロ
- 主な声優:大魔王(大平透)、アクビ(貴家堂子)
● 作品の特徴
クシャミをすると壺から飛び出す大魔王が、ドタバタ騒動を巻き起こすユーモラスなアニメ。 願いを叶えるどころか騒動をさらに大きくしてしまう「ポンコツぶり」がたまらなく愛おしい作品です。
その娘・アクビちゃんの可愛さもあって、親子二代で楽しめるギャグアニメとして人気を博しました。
● ここが面白い!
- 願いを叶えるどころか余計に大ごとにしてしまう大魔王のポンコツさ
- 「クシャミひとつで大事件!」という設定のユニークさ
- アクビちゃんの天然キャラと毒舌のギャップも魅力
● ちょこっと豆知識
2020年の新作『ハクション大魔王2020』では、大魔王の孫「プゥータ」が登場!三世代にわたる魔王家のドタバタ劇が描かれ、懐かしさと新しさが融合した作品となりました。
5. がきデカ(1989年〜)
- 放送期間:1989年〜1990年
- 原作:山上たつひこ
- 制作:東京ムービー
- 主な声優:こまわり君(三ツ矢雄二)
● 作品の特徴
下ネタや風刺ギャグ満載の、異色かつ衝撃的なギャグアニメ。 主人公・こまわり君の「死刑!!」の叫びと、パンツ丸出しのギャグが子どもたちの間で大流行しました。
警察官志望の小学生という、あり得ない設定と奇天烈な行動で、当時の常識を軽やかに飛び越えていた作品。 社会風刺も含まれていたため、大人も楽しめるブラックユーモア作品として人気を博しました。
● ここが面白い!
- こまわり君の「死刑!!」の決めゼリフのインパクト
- 子どもが警察ごっこをすると必ず真似したシーン
- 現代ではなかなか放送できない“際どさ”が逆にクセになる
● ちょこっと豆知識
アニメ版はわずか22話ほどで終了しましたが、原作漫画は累計3000万部以上の大ヒット! 当時は「死刑!!」を連呼する子どもが増えて社会問題にもなったとか…!?
6. うる星やつら(1981年〜)
引用元:バンダイチャンネル
- 放送期間:1981年〜1986年
- 原作:高橋留美子
- 制作:スタジオぴえろ → スタジオディーン
- 主な声優:ラム(平野文)、諸星あたる(古川登志夫)
● 作品の特徴
「だっちゃ!」の語尾で一世を風靡したラムちゃんと、女好きでドタバタな諸星あたるのラブコメディ。 宇宙人と地球人が入り乱れるハチャメチャな世界観と、テンポの良いギャグ展開が大人気となりました。
ギャグ・ラブコメ・SFというジャンルを見事に融合させた作品で、昭和の“お色気×ギャグ”の代表格とも言える存在です。
● ここが面白い!
- ラムちゃんのビリビリ電撃と「あたる〜♡」のギャップが絶妙
- 毎回巻き起こる宇宙規模のドタバタ騒動
- ラブコメらしい甘酸っぱさと、ギャグのキレ味のバランス
● ちょこっと豆知識
ラムちゃんの語尾「〜だっちゃ!」は、平野文さんのアドリブがきっかけで定着したといわれています! また、2022年には新作アニメが制作され、昭和・平成・令和の3世代で愛される作品となりました。
7. パーマン(1967年〜/1983年〜)
引用元:シンエイ動画公式サイト
- 放送期間:1967年〜1968年(第1作)/1983年〜1985年(第2作)
- 原作:藤子・F・不二雄
- 制作:東京ムービー、新作はシンエイ動画
- 主な声優:パーマン1号(三輪勝恵)、パーマン2号(大竹宏)、パーマン3号(栗葉子)
● 作品の特徴
ごく普通の少年・三輪ミツ夫が、ある日スーパーヒーロー「パーマン」に任命されるという、正義と日常が交差するコメディアニメ。 ドタバタな日常とヒーロー活動のギャップが魅力で、子どもたちの“なりたいヒーロー”としても大人気でした。
正義感と失敗のバランスが絶妙で、「真面目なヒーローだけどどこか抜けてる」というパーマンのキャラに親しみがわきます。
● ここが面白い!
- ヒーローなのにバレないように必死な日常描写が面白い!
- パーマンセット(マスク・マント・コピーロボット)が子どもたちの憧れに
- 他のパーマンたちとのやり取りも見どころ満載
● ちょこっと豆知識
「コピーロボット」は、のちの『ドラえもん』など藤子作品の定番アイテムとしても流用されていきます。 当時は「コピーロボットほしい!」が合言葉のようになっていたほど、子どもたちに絶大な人気を誇りました。
8. とんでも戦士ムテキング(1980年〜)
- 放送期間:1980年〜1981年
- 原作・制作:タツノコプロ
- 主な声優:ムテキング(井上和彦)、タコロー(有崎由見子)
● 作品の特徴
アメリカ西海岸風の町「ヨンフランシスコ」を舞台に、宇宙人の少年・タコローと、変身ヒーロー「ムテキング」となった少年リンが、地球征服を企む“クロダコブラザーズ”と戦うヒーローギャグアニメ。
カラフルでポップなビジュアル、アメコミ調の演出、ローラースケートで戦うヒーローなど、昭和アニメでも異色の存在感を放っています。
33話以降は舞台が日本に移り、下町情緒と昭和のコメディ要素が強まる構成に。前半は西海岸テイストのアメリカンギャグ、後半は日本的な人情ギャグという二面性も魅力です。
● ここが面白い!
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「ムテキンチェンジ!」の掛け声で変身するローラースケート戦士・ムテキング
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クロダコブラザーズの“憎めない四兄妹”っぷり
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毎話変わる舞台設定とBGMの「シリアス玉」演出
● ちょこっと豆知識
主題歌「ローラーヒーロー・ムテキング」は水木一郎が担当!あの秋元康の作詞家デビュー曲「タコローダンシング」も挿入歌として登場しています。
9. じゃりン子チエ(1981年〜)
- 放送期間:1981年〜1983年
- 原作:はるき悦巳
- 制作:東京ムービー新社
- 主な声優:チエ(中山千夏)、テツ(西川のりお)
● 作品の特徴
大阪の下町を舞台に、元気いっぱいの小学生・チエとその“じゃりン子生活”を描く人情ギャグアニメ。
無職で暴れん坊な父・テツとしっかり者の娘・チエとの親子関係を中心に、地域の人々との触れ合いや騒動をコミカルに描いています。
昭和の関西風情や人情味、そして“強くたくましく生きる子ども像”がリアルに表現された名作です。
● ここが面白い!
- 小学生なのに焼肉屋を切り盛りするチエのたくましさ!
- テツの豪快な暴れっぷりと憎めないキャラ
- 猫の小鉄とアントニオの因縁など、動物キャラも大人気
● ちょこっと豆知識
『じゃりン子チエ』は、実は高畑勲が監督した劇場版も存在! テレビアニメ版の第一話はその劇場版を再編集したもので、作画もかなりクオリティが高いとファンの間で話題になりました。
10. Dr.スランプ アラレちゃん(1981年〜)
引用元:東映アニメーション
- 放送期間:1981年〜1986年
- 原作:鳥山明
- 制作:東映動画(現:東映アニメーション)
- 主な声優:アラレ(小山茉美)、則巻千兵衛(内海賢二)
● 作品の特徴
天才科学者・則巻千兵衛博士が作ったアンドロイドの少女・アラレちゃんが、ペンギン村で巻き起こすドタバタギャグアニメ。
アラレの天真爛漫で怪力な行動と、ペンギン村の個性豊かな住人たちが織りなす世界観は、昭和アニメの中でも抜群のユニークさを誇ります。
お下品なのにどこか愛らしい、ナンセンスなのに妙に納得できるギャグが満載で、子どもから大人まで夢中になった作品です。
● ここが面白い!
- アラレちゃんの「んちゃ!」「キーン!」など独特な言葉づかいと行動
- ターボくん、ガッちゃん、ニコチャン大王など脇キャラの濃さ
- ペンギン村という“自由すぎる村”の世界観が強烈!
● ちょこっと豆知識
実はアラレちゃん、『ドラゴンボール』にもゲスト出演しているんです! また、当時は「んちゃ!」「ほよよ〜」などのセリフが流行語になり、アラレちゃん型メガネやグッズも大ヒットしました。
以上、昭和の名作ギャグ&コメディアニメ10選でした! どの作品も、今見ても笑える魅力が詰まっています。あなたの思い出に残る1本はありましたか?
懐かしい気持ちに浸りながら、また見返してみるのもおすすめですよ♪
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